昭和の風景 2021 5 1

 あれは、いつだったのか。
秋葉原にスピーカーを買いに行ったのは。
 スピーカーは、小型の冷蔵庫のように大きく、
とうてい持ち帰れなかったので、配送の手続きをした。
当時の音楽は、アンプと大型のスピーカーで鑑賞するのが当たり前だった。
 愛好家は、ステレオを自作する人がいて、
秋葉原は、ステレオ部品の街でもあった。
 ステレオで聴くクラシック音楽は音楽の楽園だった。
音の分解性能が極めて高く、すべての楽器を聞き分けられると思った。
 だからこそ、書評には、
「この交響曲は、無駄な音が鳴っている」という評論があった。
 秋葉原がパソコンの街になったのは、いつだったのか。
私も秋葉原にパソコンの部品を買いに行くようになった。
 最新鋭のCPUやハードディスクがショーウィンドウに並ぶのを見て、
胸が躍る思いだった頃には、クラシック音楽を忘れてしまった。
 あれほど苦労して探した情熱は、どこに行ったのか。
シューリヒトのブルックナーの交響曲。
この曲を聴くためにステレオを新しくしたのに。
 さて、若者に「難聴」のような症状が出ているという。
昔は、高齢者がテレビの音量を段々大きくしてしまうという話を聞きましたが、
今は、若者がそういうことをするという。
 これは、イヤホンで大音量の音楽を聴いているからでしょう。
「一時的な難聴」だと思いますので、イヤホンをやめれば治るのではないかと思います。
しかし、若者は、四六時中、音楽が手放せないと聞きます。
 そうであるならば、自宅にいる時は、
「ステレオで音楽を聴けばいいのに」と、
昭和生まれの私は思ってしまいますが、
もしかすると、若者はステレオの存在自体を知らないかもしれません。


































































































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